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大人になってこそわかる言葉

by みさとん

大人になってからその言葉の意味がわかった。という経験は誰にでもあると思う。


中学一年生の時、「星の王子さま」を手に取った。けれど、いくら読み進めど何が言いたいのかちんぷんかんぷん。
すぐに閉じてしまったのを覚えている。



それから何年か経って再び本を開いたとき、
飛び込んできた言葉があった。

きみのバラを
かけがえのないものにしたのは、
きみが、バラのために
費やした時間だったんだ。

王子さまとキツネが別れるとき。
王子さまがキツネから忘れてはいけない
"秘密"として告げられる、この言葉。

意味が分かったときは自然と涙がでた。
あの頃の自分にとってはちんぷんかんぷんな言葉だったけれど、今ならわかる。

想った時間やかけた労力、それ自体が
無数にあるありふれたものの中で
たった一つを大切な存在にするのだ。
その尊さに、
大人だからそこ流せる涙だった。



大人になって、その言葉の意味を知った経験がもう一つ。


高校生のとき、音楽の授業で歌った
”Spitzのチェリー”

愛してるの響きだけで 
強くなれる気がしたよ

当時、まだ新品の制服を身にまとった私にとってはどうも腑に落ちない歌詞だった。

"なんで強くなれるんだろう。"
そう思いながらも、次々に来る歌詞を指でなぞるように確かめながら、歌った。


今ならわかる。
愛してるの”響き”は、別に、「愛してる」という言葉でなくてもいいんだ。


何でもない日常で。
ちょっとしたことでも人の反応が気になってそわそわしてしまうときがある。

「髪切ったんだけど、似合うかな」
「この文章、読んでくれる人に響くかな」

そんなとき、
”それいいね。”似合ってる。”良かったよ。”

どんな台詞でもいい。


そんなふうに言ってもらえたら嬉しいし
何より、ちょっと自信がつく。

「愛してる」は、相手を丸ごと受け入れて肯定してくれる安心感がある。
別の言葉であっても、
その安心感を受けとること、それこそが、愛してるの"響き"で強くなれる理由なんだ。


本当に強くなれるかはわからないけれど、
”気がした”って思ってるときの人は、
きっと笑顔だ。


そんなふうに、"響き"だけで相手を輝かせることができるのだから、それだけで相手の心に残る贈り物になるんじゃないかな。


愛してるの”響き”を届けられる人でいよう。

愛してるの”響き”を受け取れる人でいよう。



じゃあ秘密を教えるよ。
とてもかんたんなことだ。

ものごとはね、
心で見なくてはよく見えない。
いちばんたいせつなことは、
目に見えない


大人になったからこそ、わかる言葉がある。年月をかけて言葉の意味を知っていくことは、生きていく人の特権なのかもしれない。


みさとん
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