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【七夕の夜に】砂が流れ続けること。

by みさとん

島根県仁摩市にある仁摩サンドミュージアムに世界一大きな砂時計がある。

全長5.2m、直径1mの「砂暦(すなごよみ)」。1年かけて1tの砂が流れていく砂時計だ。

バックパックを背負って辿り着いた、ずっと来たかった場所。


"1年ってこんなもんか。意外と小さい。"


そんなことを思った、当時のわたし。


透明なガラスには砂がぎっしり詰まっていたけれど、わたしたちの365日はこの透明なガラスの中に収まってしまうくらいあっけないものなのか。

そんな風に感じたのかもしれない。


出会いと別れがあること。
涙をこらえて歩いた、桜並木。
桜は散りゆくから美しいと、知った日。
夏の花火を見る瞳が少し切なかったこと。
それを隠すようにはしゃぎ倒したこと。
秋の紅葉を素直に綺麗だと思えたこと。
何かに追われているように
急ぎ足で落ち葉を踏んで歩いたこと。
寒さなんて吹っ飛ぶくらいの
きみの温かさが嬉しかったこと。
雪と初詣とクリスマスに、
飽き飽きしたこと。

全部、大事だったのに。
全部、しまっておきたかったのに。

砂は、流れていく。それが当たり前のように、あの細いガラスの道を通って躊躇なく下へ、下へ。


下に溜まった砂は、"過去"だ。

ぎっしり積もる、積み重ねてきた日々。
その一粒一粒は小さくても、きみの大事な気持ちと思い出がぎゅうぎゅうに詰まっている。

過去の積み重ねが人生になるとしたら、どんな砂時計ができあがるかな。

どうか、きみが「過去の砂」を見ては誇らしげな顔をする人生を、歩めますように。


上の砂は、"未来"。

まだこれから何が起こるかわからない、まだ始まってもいない砂たちが、こちらもぎっしりと待ち構えている。

どんな砂になるのかな。その一粒に、きみはどんな想いを描き、どんなことを期待するのだろう。

どうか、きみが「未来の砂」を見上げてわくわくすることの大切さをいつまでも持っていられますように。


そして、真ん中の細い細いガラスの道を通る砂は、「今、生きている自分」。


”今は、一瞬しかない。”


細い道を通り終えたら、”今”はすぐに”過去”になってしまう。

そんな、儚い”今”を生きているわたしたち。
逆らうことのできない”今”を生きているわたしたち。

きみはどんなふうに”未来”を見つめ、
どんな”今”を続け、”過去”を積み重ねていくのかな。


砂は流れ続ける。


そして最後の一粒が落ちるとき、

どんな砂時計になっているんだろう。



七夕の夜。

その一粒に、幸あれ。


みさとん
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