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油絵と不安。真っ白には真っ青を

by みさとん

あ。この曲、”たそがれの予感”だ。

好きな映画のサントラが偶然見つけたカフェで流れたのは、ちょうどきみの話を聴いていたときだった。テーブルが3つしかない小さなカフェに、店員さんが2人。他にもお客さんがいて席は埋まっていた。


それなのに、この空間には私たちしかいないんじゃないかと思うくらいに、静かだった。


”油絵が好きなんだよね。”


きみの声が響く。

わぁっと心に、波が立った。


わたしは絵が描けない。
幼い頃は、"絵が上手だねぇ。色遣いがいいねぇ。"そう言ってくれる人の側でよく絵を描いていた。真っ白い紙を渡されても何も怖くなかった。自分の思い通りに、なんでも描けた。


でも、いつからだろう。たぶん、絵に数字の成績を付けられるようになった頃からだ。自分の頭の中にある描きたいものをそのまま紙の上に移すことができなくなった。


先生に褒めてもらおうとすればするほど、どうしてもぎこちなくなる。周りを見て色んなことに気がつく時期。次第に、真っ白い紙に描くことを避けるようになった。


あのサントラは、まだ続いてる。


"高校のときの美術の授業で油絵をやったの。真っ白い紙が青の絵の具で真っ青になるまで塗って、その上から絵を描いたんだ。そうすると一度塗っちゃったんだから別にいいやって気持ちで描けるんだよね。"


油絵って色を重ねられるんだよ。
そこが好き。


"好き"に素直になれるところ。
この子ほど"好き"を自分自身でカタチにできる人を、わたしは知らない。どんどん自分らしくなっていくきみが、大好きだ。


よく、就活の相談をしてくれるね。
新しい世界に飛び込むのが怖いというきみ。

それなら”まずは真っ白い紙を真っ青に塗っていく”そんな気持ちで未来を描けばいいんじゃないかな。


するときみが、ふっと息を吐いて柔らかい笑顔になるから

わたしは自分の"好き"に胸を張れるだ。


きっとわたしはこらからも、真っ白い紙に色んな色をいきなり塗り始めるだろう。もう、あの頃みたいに怖がらない。

わたしの好きなパステルカラーは夕方の空、いつも自在に混ざり合う。


そう、混ざり合う。
だから"綺麗"なんだ。

これが私らしさなら、


色は重ねていける。
だからこそ上の色が活きるんだ。

青はきみの"自信"なんだね。


真っ青に塗っちゃえば、もう大丈夫。その先は、思いっきり好きな色でどんな風にでも描いていけ。わたしはいつだって、きみの味方だよ。



"あ。この曲、好きな映画のサントラだ。"


やっぱりきみには教えたい。
笑顔で響く、わたしの声。


みさとん
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