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黙って愛すこと。透明に生きること。

by みさとん

ちゃんと抱いてほしかった。
なんて、"愛してほしかった"と叫ぶように死んだ言葉。空気に触れた瞬間すぐに冷たくなる姿に、どうしようもなく立ちすくむ。


言葉にしたときから血は通っていなかったのに、それでもいいからと音にした。



言葉は、私自身だ。



電話越しにきみの瞳が揺れるとき
目を閉じたときのまぶたの裏
それを感じるのは私だけがいい。


一人の人を夢中になって見つめること。


どうしてこの人は、こんなにも弱くてこんなにも強いんだろう。

あ。わたしにできることって何もない。わたしが見えている世界って本当にちっぽけなんだ。そう思わせてくれた人だから

あ。きっとわたしは自分が思っている以上に人から愛されてるし、人から想われてる。そう気づかせてくれた人だから


敵わないし、叶わない。


だからせめて、抱いてほしいと見つめていたのかもしれない。降ってくるキスに目を開けることは一度もできなかった。


全部、あげるよ。もう全部きみのもの。


きみが通いつめるバーに見る風景を知ることはできないし、新宿の南口で見つけ出すこともできない。結局わたしは何も持っていなかった。


それでもきみが何かを伝えようとするときと、ちょっぴり真剣な話をしようとするときの暖かくて柔らかいものに、わたしは優しく耳を澄ます。



それだけで、いいんじゃないかな。


黙って愛すこと。


それは理想の、愛し方。



ふっと息を吐いて、空に手をかざす。
もっと透明に生きれたらいいのに。


もう、会えないのなら
もう、話せないのなら
もう、笑顔が見れないのなら


相手が死んでいてもわからないということ。自分が突然死んでも相手の時間は止まらないということ。


「愛してる」なんて、言われたことはない。それは愛していないからかもしれないし言葉にしないだけかもしれない。

わたしは、後悔しないだろうか。


目に見えるものだけを信じていたら、
何も見えなくなってしまうよ。


わたしは自分の心で見えたことだけを信じたい。わたしがわたしの人生を生きるために、大事なことだから。

今すぐに手放したり拾ったりしなくていいのだ。わたしは今日も、あなたの笑顔を願うのだから。



黙って愛すこと。
透明に、生きること。

わたしがこれから、見つめたいもの。


みさとん
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