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雨宿りで聴いていた。

by みさとん

雨宿りをした。


イヤフォンから身体に流れたのは、小刻みに鳴るベース音。独特のリズムにドキドキする。この曲は言葉じゃ収まらないほどの圧迫感と、果物の断面のような水々しい鮮やかな色を放つ。

[AIexandros]が唄うLeavingGrarpefruits

雨宿りなんて時間の使い方を忘れてしまったわたしたちは、何かを手に入れても指の間からするすると大事なものをこぼしているように思う。


ポケットに手を入れて確認する時間。私は最近、雨が好きだ。


真夜中に鳴るバイブ音と液晶の光。雨の音みたいに心地いい声が耳から全身に伝う。瞳を閉じたまま聴いているから、半分眠っているわたしの声。


さようなら。と言われたことはないけれど、放つ言葉の全部が"さようなら"の意味を含んでいることをわたしは出会ったときから知っていたように思う。


人はさようならの為に、"好き"を伝えるのだろうか。


たくさんの愛を貰ったように思う。たくさん切ない顔をさせてしまったように思う。

言葉が追いつかなくなった宙ぶらりんな気持ちを、自分だけのものにしていたのではないか。きみの悲しい気持ちを。切なさやどこにも行き場のない言葉達を。


わたしはココロで見れていたかな。


宙ぶらりんなのは私だけだと思いたかった。その小ささにどうすることもできなくてLeavingGrarpefruitsと水たまりに映った自分を見つめる。



さよならをする為じゃない。


たくさんのおやすみとありがとうを
伝えあったから、"好き"と伝えたんだ。



思い出してみてもおかげでいつもいつも
強がれた あたりさわりない言葉を操って
赤裸々にもなれた
[Alexandros] LeavingGrapfruits


なんで酔っ払ったタクシーの中でしか電話をかけてこないの。ふくらんだほっぺは小さい子みたい。

酔っ払ったタクシーの中でしか電話をかけられない切なさを含んだ甘える瞳に、わたしはいつもコロコロ笑い、気を抜くとすぐに泣かされた。


優しさがずるい。


そう感じるのはきみが弱いからだよ。


言葉に息が詰まると、その代わりに涙が溢れた。


これでいいんだっけ。わたし。


宙ぶらりんなのは本当に自分だけ?相手にとっての私は、ずるくないのかな。

言葉に息が詰まって涙しか流せなかったのは、優しくない自分をみたから。強くならないと誰も守れない。弱いままじゃ自分を見るので精一杯なんだ。


そう気づいた夜も、わたしは彼の前で素直に涙を流せた。


"もう一度出逢うなら
今度はどんな2人になろうか
そのときはどんな話題で笑おうか
どんなことで泣こうか"
[Alexandros] LeavingGrapfruits

最後まで聴くとわかる。LeavingGrapfruitsは失恋ソングなのだ。


もう、来ないの?
会いたいって言えばいいのに。


私は点を大事にしたいから、ちゃんと会いに行くよ。


その前にもう少しだけ、透明な自分になっておきたいから。もう少しだけ愛を蓄えておきたいから。


地球を少し、歩いてくるね。
感じた空気を言葉にして、見えた世界にシャッターを切るよ。それが全てでそれが楽しい。


私にとって旅は、雨宿りみたいなものかもしれない。忘れてしまった大事なものをきちんと掌でつかんでいられるように


今ある自分は、点ではなく線だということ。
線は、私自身。どんなに小さな点が欠けていても今の私はいない。今ある点に、一つ一つ真摯に向き合うこと。後悔のない線を、引き続けるために。



ポケットに大事なものを入れた、雨宿りの日。


みさとん
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