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白い昼の月

by みさとん

暑い風がうっとおしい。放っておいてほしいのに、身体全体に絡みつき密着する温度はわたしを苛立たせた。

いつもの道を歩く。空の広さに救われないこともあるんだと知った日。


"これが大人になるってことなのかな。"


だとしたら、生きていくってどれだけ大変なんだ。そう思った瞬間に一歩も動けなくなりそうな自分を置いて、ビーサンを引きずりながらどんどん歩き続ける。

初めて孤独を知ったのは高校三年生の冬だった。
どんなに一人になりたいと思っても絶対に誰かと繋がっていないと生きていけない。その事実を実感したとき、逃げられない孤独に生きることが怖くなった。


どれだけ信頼しててもそれだけ親しくしてても、全部は理解してもらえない。相手に期待していたのと違う反応をされたときの絶望感を”孤独”だと知ったとき。私は泣きじゃくって孤独を教えてくれた人にしがみついた。

生きていくのが怖い。そんなふうに言うには今の自分は諦めすぎている。
酔っぱらって好きな人に電話できるって幸せだなと思う。苦しい助けてと言えたら。涙を見せるより無理に笑顔をつくらないほうが難しい。

その全部ができないから、わたしは相変わらず孤独なのだ。


あ。月。

月って、まだ空が綺麗な澄んだ水色の時間からでてるんだね。太陽は夜になると絶対に顔を出さないのに、月は違う。


ただそこにいる。隠れもせず、かといって目立ちもせず。気づこうが気づかれまいがそんなのは関係ないという顔で、ただ上から澄んだ顔で私を見ていた。


気持ちいい。本当は、白い昼の月が世界を救うんじゃないかと思った。こんなにも孤独なものを、私は綺麗だと感じられる。


ただそこにいること。

大丈夫。誰も見放したりしてないよ。ちゃんと見守ってるって。


白い昼間の月のような存在。


この言葉を唱えれば、きっと安心できる。

誰かと繋がっていたいけど、繋がりたくない。

泣きたいのに笑っていたい。
笑えないのに苦しいって言えない。


大丈夫。
昼の月は、ちゃんといつも見ていてくれるから。


全部を飛び越えなくていい。
でも、一つずつ大人になりたい。

まずは苦しいと、言ってみよう。
そこから綺麗に、なってみたい。


優しい気持ちで見つめるものを正しさに変える、自分らしさで。

夏を、脱皮する。


みさとん
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