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夏。だから

by みさとん

蒸し暑い星が見えない夜。クーラーなしでは生きられなくなった最近の夏に人工的な匂いがするのはあまり好きじゃない。

と言っても今日も夏を生きるためにピッと音を鳴らせて風を起こす。


今日は街の花火大会だけれど、絶対浴衣着ていく!と意地を張るには少し気が抜けすぎていたせいか21時頃になっても缶チューハイとお家のテレビというクーラーに甘んじるなんとも人工的な夏。


煮え切らない最近に、このままいたって一体何になるんだろう。自分が笑顔でない疑問と共にぷつっと糸が切れた瞬間だった。


花火したい。

押し入れから引っ張り出した手持ち花火は、勢いよく火花が散って煙がもくもく。小さいのにエネルギーの塊のような一瞬の光は途端にわたしを笑顔にした。

ちょっとビビりながら花火を持つ手。暗い夜にカラフルな線。これでもかと飛び散る光を見つめる瞳。胸の奥を焦がすような煙のにおい。


全部が昔から変わらない、花火とわたしが見せる表情だった。


"わぁ...綺麗。"
そうやって笑顔で言葉を無くす。


それこそが自分らしさなのに、見失なってしたったらあっという間の月日の中クーラーに加工されてドロドロになってしまうよ。


花火がしたいなら今すぐ外に出よう。向日葵が見たいなら晴れた日の朝車を走らせよう。綺麗な海が見たいならチケットを買うだけだ。自分の欲求に素直にならないと、自分のココロも人のココロも動かせない。


いつか火が尽き、
水の中へジュっと音を立てて
消えてしまうのだから。
いつか風が吹き、
光を放つ前に落ちてしまわぬように。

輝いているとき。それは儚なさとは一番遠いところで自分の好き勝手な方向に線を放つ。


理由を探すな。もっとシンプルに。


街の大きな花火大会の日。
みんなが上を見上げる夜に、下を向いて自分の手の中にある光に答えを見つけた。

きみと花火がしたい。

夏。だから


みさとん
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