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世界は私を中心には回っていなかった

by みさとん

飛行機が走り出す。エンジンが大きな音を立て猛スピードで景色を捨て去った。必死に胸に焼き付けたいと思った気持ちも景色も、飛行機の一瞬の力みの後は、あっけなく雲の中へ消えこの地を離れた。


昼間の飛行機は久しぶりかもしれない。
上空からすぐに今まで乗っていた赤い長い列車が走るのを見つけた。エンジントラブルでいつ発車するかわからないと言われてハラハラしたっけ。オレンジ色の屋根が並ぶ家と家。いつまでも見ていたいこの景色に溶け込みたいと大きく息を吸ったっけ。


そういえば、私はこの国の人たちの表情がすごく好きだ。公園ですれ違う人。電車の向かいに座る人。目が合うとにっこり笑う人々に私の気持ちにいつもカラフルな色をつけてくれた。


空から見るいくつもの物語はどれもちっぽけで、どれも変わらず今日を送っていた。


私がどんな気持ちでいようがいまいが、この国を訪れようが離れようが、何も変わらずこの国の今日は過ぎる。


世界は、私を中心に回っていなかった。


そんな当たり前のことを、当たり前に気づけなかったのはずっと同じ世界に同じペースで生きていたから。


優しさってなんだろう。
寂しさってなんだろう。
愛しいってなんだろう。

平和な世界って。豊かに生きるって。
幸せって、なんだろう。


私の当たり前は、世界の当たり前ではないらしい。

雲の上には空が。青い、蒼い、碧い空は、どこまでも広く包んでくれている。海は、どこまでも空を写したかのように大きく、そして強く生きていた。空と海の間。白く淡い光が丸い地球に沿って続く。


綺麗なものを綺麗と、一緒に感じられる幸せ。幸せな気持ちを幸せと、一緒に感じられる尊さ。

そしてそれが、当たり前ではないということに日本を離れる度、何度でも気づく。


今日もたくさんの人の想いと価値観が蠢きあって折り合いをつけてその一つ一つが歯車になって国が、そして地球が動いているのだ。

その中でちっぽけに生きる人と人の物語を知ること、知らない土地へ行くことも、高いところから眺めることも、私を私らしくするためには必要なことなのだ。

空から見るアフリカ大陸を眺めながら随分遠くまで来たなと思う。着陸をしたら、当たり前を壊しながら当たり前を大事にしながら、生きたいな。


みさとん
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