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もう一つのスタート。

by みさとん

飛行機に乗って、遠い世界の、わたしと同じ笑顔で笑う人たちに出会った。


この旅に出る三日前まで、目を腫らして泣き明かしていたわたしは、

どの景色を見ても、心のどこかにさようならをした先生を思い浮かべていたように思う。


空は、どこの国でも、青く蒼く碧く。
綺麗だね、空。

見ているだろうか。

全てをむき出しにして全身で呼吸をする、私を。見上げるサグラダファミリアもパリのエッフェル塔も、あなたが見た同じ景色を、あなたが見たことのない景色を、わたしは見れているだろうか。


ふと見上げる月に、日本と同じように輝く月に、わたしが思い出す人は先生だった。


会いたいと思うほどに、先生を思い出すほどに、近くに感じる存在に涙が頬を伝った。お葬式で流した涙とは違う。何度もあのモノクロの光景は脳裏にまとわりつくけれど、それが今のわたしの背中を見守ってくれていることを、今では優しく理解ができる。


せんせい。見ていますか。

わたし、たくさんの世界を見てきたよ。写真じゃ納まりきれない肌で感じる空気や音や人の熱気や、その全部に声を上げて表情を変える私に”感受性が豊かだね”って言ってくれる人たちにも出会えたよ。

最初は怖かったけど、一つ一つ自分を乗り越えたこと。表現したい自分を少しづつ出せるようになったこと。

長い長いバスとどこまでも続く岩肌に、静かに感動したこと。楽しくてはしゃいで、カメラにいくつもの笑顔を切り取ったこと。その長い歴史や、人の優しさに涙が溢れて仕方がなかったこと。

しんどいときも仲間がいれば笑って乗り越えられるんだと知った夜。眠い目をこすってみんなにこっそり手紙を書いたこと。


”ありがとう”を、何度でも伝えたいと思ったよ。人に。大切な、人に。


見ているかな。わたしのこと。そんなことを想って、砂漠の山のてっぺんで星に手を伸ばしたんだよ。


いつもだったら、帰国した後、研究室に駆け込んで嬉しそうに先生に写真を見せながら報告するんだろうなと思います。

でも、今回は心の中で先生とお話をしながら一緒に旅をしている気分でした。


砂漠の夜、みんながわたしの良いところを言ってくれた時間、聴いていましたか?


先生は、なんて言うかな。
わたしの良いところ。


学校が始まって最初の日。

私が最初に向かった場所は、”英語研究室”だった。きっと、泣いてしまう。そう一か月前は思っていたけれど、


”行ってくるね、先生。”


そう、にこっと笑うわたしは、紛れもなく帰国後の、"わたし" だった。


見ててね、先生。今度会ったときは、私が見た世界の出来事、私が見た夢、私が歩んだ道、全部笑顔で報告するから。


”さすがみさと。よく頑張ったね~!”そんなふうにまた褒めてもらえるように


わたしは笑って生きるよ。

今日はもう一つの、スタートの日。


みさとん
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