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その傘は。優しさ多めの誰かの傘

by みさとん

空が暗い。さっきまで雨が降っていたけれど、今は雫にも満たない細かい水が風に乗って頬に当たるくらいに収まっていた。


玄関を出てしばらく歩くとふと自分の右手が握っているものに気がつく。


無意識に持って出かけてきた、傘。
もう、雨はやんでいるのに。今日もまた持って出てしまった。


あれば越したことはないけれど、やっぱり邪魔だ。


雨、降っていないのだから。

この傘、わたしらしい。

そんな風に思うと鼻がツンとなって重く灰色の今にもこぼれてきそうな空に負けてしまいそうになるから身体にぎゅっと力を入れて歩く。


でも、


もし、雨が突然に降りだしてどうしようもなく立ちすくんでいる人がいたらそっとこの傘、そっと貸してあげよう。



わたしにとっての余計なものは、誰かにとっての必要かもしれない。

もしそうだとしたら、自分の嫌なところも、どうしようもなく情けないところも、もうちょっとだけ一緒に持って歩いてみようかと思った。



ああ。今日傘いらなかったな。と思ったら

優しさ多めの日。
そう思って、過ごそう


みさとん
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