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いつも初めての道を歩いているから

by みさとん

雪が降った。

たちまち積もりに積もって、わたしの自転車は雪でぺしゃんこになってしまうんじゃないかと思うくらいどすのきいた降り方で。あっという間に雪がこの世界の主役になってしまった。


午前中でさっさと学校を終わらせ、歩いて、電車に乗って、バスに乗って、やっと家の前の横断歩道に辿り着く。

バスから道に降りる瞬間、鈍い音と一緒に湿った雪が足の裏を捉えたのがわかった。

わぁ。久しぶり、この感触。

てくてく歩いて路地に入る。すると待っていたのは真っ白な世界。何が白いって、足元。誰も歩いていない道がひっそりとそこにあった。

いつからか、"雪"と聞いてもテンションが上がらなくなったのは。小さい頃は、世界が一夜にして真っ白になることに感動した。

雪かきだって少しの歩きにくさだって、ただ目の前の雪が嬉しかったし、少なくともニュースやバス停や駅のホームで嫌だなぁなんてこれっぽっちも思い浮かばなかったなかった。


それでもやっぱり、この誰も歩いていない真っ白な道を見るとココロがにやっとするのがわかる。いつも歩いている道が誰も歩いていない道になる。それは雪が世界を模ってくれて見れた世界だった。


本当はこうやって、毎日初めての道を歩いているのだ。同じ道を歩いて駅まで向かって同じ仕事をして帰ってきても、全く同じ日なんて一日もなくて、そういう意味では毎日初めての道を歩いている。そしてその足跡は自分だけのもの。

初めての道なのだから、迷ったり上手くいかないことがあって当たり前だ。同じ作業だって、毎日自分は変化していて、世界も少しずつ変化している。


そんな目に見えないものを浮かび上がらせてくれたのは、真っ白い雪だった。

雪が世界を模るように、
言葉で感情を模りたい。

それはきっと、普段は居場所が無くて空気中にふわっと浮かぶ感情たち。もやもやしたものだったり、きゅんとする何とも言えない味だったり。そんな自分にしか味わえない感情を言葉にしてあげることで居場所を与えられたら。そうして相手にも伝えられたら。

毎日の景色が少し、変わって見えるかも。


真っ白い世界と、目に見えない日常に。


みさとん
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