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スーツより大事なもの、見つけた空。

by みさとん

 この世界を抜け出したいと逃げるように足を運んだ。スーツが汚れるのなんてお構い無しに、公園の小高い花壇にひょいと座るきみを心配する。かく言うわたしも結局はスーツよりも大事な方を選んで、ひょいと横に座った。

 すり減ったパンプスは地面から離れてぶらんぶらんと空を切る。

 ざわざわと世界が優しい新緑の音が好きだ。まっすぐに差し込む日差しに揺れる影も、カサカサと耳元で音を立てる葉も、ゆらゆら波打つ風も。身体の真ん中を突き抜けてどこまでもその先へとわたしを置いていく。

「今日は365日で一番好きな天気だった」

 昨日の夜、きみから届いたメッセージにそういうところがすきと心で呟いたのを思い出し、365日で一番憂鬱な日の澄んだ空をパシャりと、葵い蒼い色を切り取った。

風が気持ちいい。

 緑の葉に意味を持たせたところでと思い悩むのをやめようとするけれど、曇った顔はいつまでも空が綺麗と呟くだけでその先の自分にニッコリと笑えずにいた。

いつまで続けるつもりだろう

いつまで、いつまで。

見上げる自分はかっこ悪い

そう思うことが苦しい。

きっとそんな繰り返しの中あっちにいったりこっちにいったり、ふらふらといつの間にか落ちていく。

世界を、もっと世界を空の上から捉えられたらいいのに。

わたしは、わたしが向かいたいその先を、見据えられているだろうか。

きみは、きみが向かいたいその先を、大事にできているだろうか。

悩んでることなんて

描いてることなんて

想像してることなんて

実は、本当に本当にちっぽけで

氷山の一角しか見えていないのかも。

どんなに偉かろうが、どんなに年を重ねようが未来は誰にもわからないしその人のことはその人にしかわからない正解があるかのような、錯覚。

"もっと、肩の力を抜いて"

 流れる景色の香りも、季節の模様も、誰かの愛おしい横顔も、ただそこにそっと存在するのに。見落として生きてしまうにはあまりに勿体無くないかい?

 達成したその先、わたしは何を感じたい?わたしは何を得たい?

"誰かの笑顔が見れればそれでいい"

そんなシンプルな願を、周りに、目の前の人に、受話器の向こう側の人に、伝えられたら、もうそれでいい。

正解なんてないのだから、

空が綺麗。

そう呟く自分のままこの世界を渡って生きたい

きみは何を身体の真ん中にして、生きていくのかな。

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