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その気持ちに名前をつけて。

by みさとん

ほんのりと汗ばんでいるのを気づかないふりをする朝の駐輪場。気がつけばもうこんなにも季節は進んでいたらしい。冬用のダウンジャケットにマフラーまでしてきたわたしは暖かい日差しに置いていかれないようにパタパタと駅へ走り出した。

3月の末になる。この季節はここ数年特別だった。会いたい人に会いに行く時間と会いたい人が会いたいと言ってきてくれる時間が交差したそんな特別な季節だった。


忘れたふりをしてずっと覚えてる。
想ってないふりをしてずっと想ってる。

それは愛や恋ではないかもしれないけれどただそこで変わらず、そっとこちらを見ている思い出だ。

少し性格の悪いやつになってみれば、一瞬の隙も与えない程に突き放したかったし少しお節介なやつになってみれば、どうかこの人だけはと思える人を見つけていて欲しい。

そんなむず痒い願いがココロにじわりと浮かんだと思えば空を切って透明となり誰に届くこともなくその1秒後には消えてしまうから何事もなく毎日を送る。

「かつて愛していた人で今はもうそうではない人に抱く感傷的な気持ち」を表す「razbliuto」という言葉が、英単語にはあるらしい。

自分が今感じている気持ちに名前が付けられなくても、世界のどこかではその気持ちに名前をつけて堂々と表現しているのかも。

生温かい夜のネオンに染められた日の記憶が蘇る。自分のヒールの音だけがやけに響いた。
















みさとん
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