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またねと久しぶりを行ったり来たりして

by みさとん

明後日帰国するから、夜空いてる?
唐突に電話の向こうで聞こえた声にかすかな賑わいが想像できたのは旅先の様子を含んだ彼の声のせいだろう。

待ち合わせの改札口に着くと手のひらのバイブ音が鳴った。画面には少しのぶっきらぼうと素直さが混じった"遅れる"とのメッセージ。

丁度いい。そこら辺をぶらぶらして待とうと駅の中を引き返す。
可愛い服を見て少し高いイアリングもチェックしてやっぱり買えないと諦めるのに、本屋さんに入ると、わぁと惹かれる一冊を見つけてしまった。
それはわたしを呼んでいたし、わたしもそれを呼んでいた、と遠慮せず思い込む。

なにか、運命的な"モノ"との出会いにはいつもこんな必然を感じるから、迷わずに手に取っていける。

**

久しぶりに会った彼はいつも通りのあどけなさと少し大人びた自信ですぐにわたしを笑顔にさせた。

彼は3週間ほどのアジアの旅を終え、
わたしは10日程の南米の旅を終えたところ。
日本食が食べたいと心底叫ぶ彼に付き合いお酒とソースの匂いでいっぱいの居酒屋で旅の話は尽きなかった。

一緒に旅をしたモロッコが懐かしいと振り返る間もないくらい、少し先の未来をキラキラと話す。お互いの行ったことのない国をこれから一緒に行きたい国を、夢いっぱいに広げる。


久しぶりに酔っ払った


昔のあの人に電話したくなってそういえば酔っ払うと深夜にタクシーの中から電話してくる彼にどうして酔ってる時しか電話して来ないのなんて分かりきったことをわざとらしく聞いたりしたのを思い出した。

だめだめ、電話なんてしちゃ

そう思いながら待ち合わせ前に絶対買おうと思っていたエッセイ本を手に取りクラクラする気持ちいい足取りでレジに向かった。


普段なら待たせたら悪いと出さない細かい小銭も確認をしながらゆっくり出す。ありがとうございましたと店員さんが言う前にお礼を言いきちんとレシートももらう。

ああ、やっぱりこの本買って良かったな。1ページめくるごとに思う。そしてそれらはわたしの中に少しの重みを持って入ってきてはじわりと溶けていった。言葉を、自分の好きな言葉を選んでいくことはココロの栄養になる。

バス間に合ったよ!楽しかったありがとう!そんな彼の勢いのあるメッセージにじわりとココロが暖かくなるのは、嘘のないあの笑顔が心地いいからだろうか。

アメリカ横断しようね!そんな約束をしてまたいつかと、歩き出した。


みさとん
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