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その間を漂わせてくれる人

by みさとん

髪を切った。

月を追うごとに短くなる髪に嬉しくて何度も指を通してみる。外は雨が、冷たく雪を含むような雨が水溜りをつくっては浮ついたわたしの足をピシャッと音を立てて濡らした。

あまりに自然な駅での待ち合わせに、遠くから歩いてくるきみを誘ってみてよかったとケラケラ笑い合う中そっと思ってみる。

わたしが気になるカフェに向かう途中道に迷うときみが修正をし、わたしがカフェを探している間は肉が食べたいと言うだけで何もしないきみ。

傘を差しながらちゃぴちゃぴと跳ねる水溜りに靴が模様を落としていくのが楽しかった。

**

久しぶりの雨のような気がした。

昨日も一昨日も雨だったのになぜか"今日"に雨は似合っていて久しぶりではないきみの笑顔も雨に馴染んでいたせいだろうか。


好きな場所で好きな人と好きなご飯を食べる。時間が柔らかくなったみたい。この人といるとただそこにいるだけなのにこの優しい空間に溶け込んでしまったのかな、といつも思う。

本当はもっと色々話したいことがあったはずなのにするすると通り抜けていってしまった。残ったものは何気なくココロに浮かんだ言葉たちでそれらはきみにきちんと伝わっているのか何も伝わっていないのか分からないないことにいつも少しの寂しさを覚える。

全部を見透かされているかのような瞳にも少し考えるときの沈黙も、彼の呼吸のリズムに合わせてみたいと思った。それはきっと、わたしの知らない未来や過去や今を知りたかったのだろう。けれどやっぱり、残ったのは紛れもなく今わたしの目の前にいる彼、それだけだった。


髪切ったんだねも、ネイル変えたんだね、も何も無い彼と、言われたら嬉しいのになぜか心の隅では気づかないでくれと願っているわたしの、この距離とこのペースが2人には合っているのかも。

恋人かといったら違う。友達かといっても違う。その間でもない。ずっと漂っているように思う特別。

何年もかけて今がある何にも知らないのに何でも知ってると錯覚してしまうくらいこの名前の無い関係に、雨が似合う彼もすき。なんて言えないから今度一緒に交換小説でもしませんかって告白してみたい。何かを求めなくてもそっと手渡す意味のあるもののように思から。


なんてね今日もありがとう


みさとん
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