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春の始まりに、儚さを。

by みさとん

久しぶりにこの場所で見る桜はどこか”当たり前”のように私たちを待ってくれているようだった。

どんな曲を聴いて
どんな話をして
どんなことで悩んでいたっけ。

思い出せるような。ううん、思い出なんかじゃなくいつも纏っているもののような。曖昧で鮮明な懐かしさは校門に一歩足を踏み入れるとだんだんと色と形を帯び始める。

校舎の中に詰め込んだ色鮮やかで時にどろりとした高校生活は風を切り過ぎ去った。そうして月日は少しずつ私たちを変えたけれど、”待っていたよ”と微笑んでいるように佇む教室やグラウンドや廊下の全て。

その全ては、当時、私たちの全てだった。

そういえば、私はいつだってこの子たちと笑ってた

この3月で母校は閉校する。
待っていてくれる場所を無くすような寂しさに襲われるのかと思いきや、私の帰ってくる場所はいつだってここだと変わらないみんなを見て思う。私はきっと、この子たちがいるなら世界のどこにいても大丈夫な気がした。


何もかもを置いて旅立ってしまいそうな自分に怖くなるときみんながいるから強く、少しの寂しさとたくさんの「好き」を連れてまた次の場所へと飛んでいける。憧れの場所へと足を踏み入れるとき、いつどんな時でもあの校舎に詰め込んだ夢いっぱいの自分を見守ってくれているのはそんな夢を語り合った友達だった。


ありがとうを画面の中で100回伝えるより、会いたいねと少しの長電話をしたい。いつ会おうかと10回の電話をするより会いに来ちゃったと勢いだけで飛び出したい。


スカートの丈を短くして走り抜けた青空通りも、単語帳を睨みながらいつの間にかそっちのけできみとゲラゲラと笑うお昼休みも、もう二度と帰ってこない儚い時間に


みさとん
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