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今、この瞬間のこと。好きな人のこと。選び取る生き方のこと。

by みさとん

ココロが呼吸をする。やっと息を吸えたと大きく空気を吸い込んで、夕方の空に目を細めた。

空が綺麗と呟いては隣を歩くきみは何を想うのかなと気になったりして。

夕方の優しさは時間を柔らかくしてくれるから安心して呼吸ができる。
いつだって四角いオフィスの中、どこかに正解を見つけ出そうとするのが悪いくせで。かっこ悪くても間違っててもいいから、正直に自分の歩幅でこの世界を歩けたらいいのにと思うもどかしさでさえも空が溶かしてくれる気がした。

***

そんなとき、
あっ。と声を上げそうになる景色を、ビルの間に見つけた。

空、それはどこにでもある空だったけれど、どことなく隣を歩く彼に似合う、彼のような色の空だった。ビビットな蒼い空に優しい桃色の雲がすっーっと伸びるビルの間から見えた表情が胸に焼き付いて離れない。
彼に言いたくて、でも言葉はなに一つ音にならず、永遠のような数秒間は歩みを止めない私から過ぎていった。

***

中学生のとき、大好きだった英語の先生にどうして学校の先生になったのかと聞いた話を思い出した。

「銀行員をやっていたんだけど、朝早くから夜までビルの中にずっといるでしょ?だから空もお天道様も見れなくて、それが嫌ですぐやめちゃったのよ。英語が得意だったしその後に先生になったんだよ。」そう恥ずかしそうに教えてくれた、まっすぐな瞳が今でも忘れられない。

当時は、そんなことあるのか!?と驚いたけれど今になるとその気持ちは痛いほどにわかる。

先生は自分の大切にしたいものを離さずまっすぐに向き合う生き方を選んだんだ。
授業が終わるとふらりと一人でロンドンへ旅に出る姿も、自分より大切な存在に巡り会ってくださいと卒業するときに言われた言葉も、軽やかに楽しそうに子育てをする姿も、

ああ、だからあんなにも憧れたんだと思う。

きっと私も、
”空が見れないから”たったそれだけの理由で会社を辞めて旅に出る、好きな世界に飛び込む生き方を選ぶだろうな。

***

ふわりと風が吹く。
好きな人の匂いと海の匂いが溶け合っているみたい。ココロを柔らかくしてくれる、何にも染まらない自然体な彼が好きだなと思う。


いつかの自分は誰かの側を離れることが怖くて羽根をたたみじっと相手に合わせていたけれど、きっと今は、この人がいるから大好きな空に向かって等身大のままに大きく羽根を羽ばたかせられるんだろうなと思う。
寂しさを、勇気に変えてくれる人。



それが結果としていつか海の向こう、少しの離れる時間になったとしても

どんな景色を見ても、誰と巡り会っても結局、
世界のどこにいても私は私のまま、大好きな人を想うのだから。


みさとん
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